土地改良区の歴史

地域の沿革

秋田県南東部に広がる横手盆地は、一級河川・雄物川の中流右岸に位置し、横手市・湯沢市・大仙市にまたがる広大な水田地帯として古くから農業が盛んな地域です。その歴史は天平宝字年間(西暦757年以前)まで遡り、古くから皆瀬川や成瀬川といった支流を水源として、稲作が営まれてきました。しかし、かんがい期の水不足や大雨による氾濫など、水にまつわる課題が多く、水争いも絶えませんでした。農民たちは小規模な溜池や取水施設を築いて対策してきましたが、抜本的な解決には至らず、営農には常に苦労が伴っていました。

このような背景のもと、昭和21年度から国営雄物川筋土地改良事業が開始され、皆瀬ダムの建設や用排水路の整備、施設の統合・改修が進められました。さらに、附帯県営事業とともに排水路の新設や頭首工・導水路の更新などが行われ、農業用水の安定供給が図られました。しかし、近年では水源となる湧水や河川流量の減少、施設の老朽化により再び水不足が顕在化。こうした課題に対応するため、平成13年度から国営平鹿平野土地改良事業、平成24年度からは国営横手西部土地改良事業が始まり、新たな水源の確保や排水施設の再整備が進められています。これらの取組は、今なお続く農業基盤の安定と未来への継承を支える重要な一歩となっています。

雄物川筋土地改良区の沿革

昭和40年代

土地改良区の設立と事業の始まり

昭和43年、国営雄物川筋土地改良事業の推進を受け、雄物川筋土地改良区が設立されました。これにより、地域の農業基盤整備が本格化し、用水の安定供給や排水対策を目的とした施設整備が始まりました。

昭和50年代

国営事業の完了と施設管理の開始

昭和55年、国営雄物川筋土地改良事業が完了し、主要な施設の管理が雄物川筋土地改良区に引き継がれました。これを機に、農業用水の安定的な供給体制が整備され、地域農業の近代化が進みました。

昭和60年〜平成初期

施設の活用と県営事業への移行

国営事業終了後も、県営の補完事業により施設の改修や維持管理が行われました。用排水路の整備や管理体制の強化が進められ、地域全体の農業生産性向上と経営の安定に貢献しました。

平成10年代

老朽化への対応と新事業の開始

施設の老朽化や水不足などの新たな課題に対応するため、平成13年度から国営平鹿平野土地改良事業が開始。あわせて、湧水や渓流水の減少に備えた地下水の活用など、安定した水管理体制が構築されました。

平成20年代前半

施設整備の拡充と多面的な対応

平成19年度からは、附帯県営かんがい排水事業およびため池等整備事業が実施され、従来施設の改修・機能強化が図られました。経年劣化への対応とともに、省力的な施設管理も推進されました。

平成24年以降

排水施設の再整備と今後への展望

平成24年度から国営横手西部土地改良事業が着手され、排水計画の見直しと排水施設の機能回復が進められました。こうした整備により、地域農業の安定化と未来への基盤づくりが進行しています。